医療法人 慈翔会 沼 脳神経外科クリニック

医療法人 慈翔会 沼 脳神経外科クリニック|守口市脳神経外科,神経内科,リハビリテーション科

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ボツリヌス療法(ボトックス治療)

ボツリヌス療法とは

ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。
ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。
そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができるのです。
ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
日本では眼瞼痙攣、片側顔面(へんそくがんめん)痙攣のほか、他の疾患に対して医療保険の適応が認められており、これまでに10万人以上の患者さんがこの薬による治療を受けています。

※当院のボツリヌス療法は片側顔面痙攣・痙縮に限定しております。
 
ボツリヌス療法

片側顔面痙攣とは 

疾患について

片側顔面痙攣は、顔面神経の被刺激性亢進により、顔面筋が発作性、反復性かつ不随意に収縮する疾患です。 発症原因は、顔面神経が脳幹から出る部分で、延長・蛇行した血管あるいは小動脈によって圧迫されるために起こることが多いと考えられています。

症状について

通常、攣縮は上眼瞼または下眼瞼に始まり、進行すると眼輪筋の他部位あるいは口輪筋など他の顔面筋が侵されます。重症例では収縮は持続性となります。
中年女性に多く、左側面にやや多く見られます。同側顔面筋の攣縮は同期的で、速く、軽症では時折生じる程度ですが、しばしば群発する傾向を持っており、持続性収縮を頻繁に生じる例もあります。
重症化すると、特に若い女性ではうつ状態に陥る傾向があります。
また、原則的に睡眠中でも持続します。

片側顔面痙攣の治療について

片側顔面痙攣は、顔面神経の被刺激性亢進により、顔面筋が発作性、反復性かつ不随意に収縮する疾患です。 発症原因は、顔面神経が脳幹から出る部分で、延長・蛇行した血管あるいは小動脈によって圧迫されるために起こることが多いと考えられています。


片側顔面痙攣の診断について

診断の流れとポイント

片側顔面痙攣は、特徴的な発症・進展様式と視診所見から、診断は比較的容易に下せます。
片側顔面痙攣の臨床的特徴は以下のようになります。

  1. 中年以降の発症が多く、女性に多い。
  2. 眼瞼周囲の攣縮で発症し、次第に増強し口角周辺に進展する。
  3. 随意運動や精神的緊張で痙攣が誘発される。
  4. 罹患筋間に共同運動を認める。
  5. 軽度の顔面神経麻痺を伴うことがある。

痙縮とは

痙縮は「腱反射亢進を伴った緊張性伸張反射(tonic stretch reflex)の速度依存性増加を特徴とする運動障害で、伸張反射の亢進の結果生じる上位運動ニューロン症候群の一徴候」と定義され、脳血管障害、脳性麻痺、頭部外傷、無酸素脳症、脊髄損傷、多発性硬化症など、さまざまな病態が原因となって発症します。欧米の脳血管障害患者に関する調査では、脳血管障害の発作3ヵ月後に19%、12ヵ月後に38%の患者において痙縮が認められたと報告されています。 痙縮により筋緊張が増加すると、さまざまな四肢の姿勢異常をきたし、表に示したような問題が生じます。

表:痙縮によって生じる問題
●症候
スパズム/クローヌス/疼痛/容姿の変化(disfigurement)

介護時の問題(Passive Function)
身の回りのケア/衛生/着衣の妨げ/食事/座位/
睡眠時のポジショニング(姿勢保持)の困難/移乗動作(transfer)の妨げ

動作時の問題(Active Function)
ものを握る/到達する(リーチ)/放す/移動させる際の困難/移動性(mobility)/歩行/体重支持の制限
痙縮
 

痙縮の治療について

痙縮の治療目標は、痛みやスパズムなどの症候的な問題、患者さんのセルフケアや介護時の問題、手指機能や上肢機能、歩行など動作の問題を改善することにあり、患者さんに生じている問題に合わせて個別に設定します。患者さんのなかには、筋緊張の増加を歩行や移乗に利用している方もいるため、痙縮の治療が必ずしも問題の改善につながるとは限りません。したがって、問題を引き起こしている原因を特定し、治療によってその問題が改善できるかどうかを検討した上で、現実的な目標を設定するようにします。介護者に対する影響を考慮することも忘れてはいけません。

痙縮の治療法には、経口抗痙縮薬による薬物治療、神経ブロック療法、バクロフェン髄腔内投与、外科的治療などがあり、これらは痙縮の分布や重症度に応じて選択されます。ただし、こうした治療を単独で行っても効果は限定的であるため、リハビリテーションの併用は必須です。
 
痙縮の治療